映画『爆弾』。壊さずに済む理由を探していたのかもしれない。

※映画『爆弾』『セブン』のネタバレを含みます。

映画『爆弾』を観た。

前半はものすごく面白かった。

特に取調室でのやり取り。あの会話だけでも、ずっと観ていられそうだった。

ところが後半、どうにも納得できないまま終わってしまった。

鈴木は、結局何がしたかったんだろう。

好きな映画に『セブン』がある。

あの映画は、最後に犯人の目的がはっきりする。そして、それが達成される。

初めて観たときから、衝撃と同時に納得があった。

『爆弾』には、その納得感がなかった。

あれだけ警察を翻弄して、あれだけのことをやり遂げる。相当な執念だと思う。

でも、その執念がどこから来るのか、よくわからなかった。

観終わってからも、ずっと引っかかっていた。

そんな中で、類家とのやり取りを思い出した。

類家が、自分にも人を殺したいと思うことがあると話す場面。

それを聞いた鈴木は、一瞬、泣き出しそうな顔で笑う。

涙は流していない。

でも、単純に嬉しくて笑っている顔には見えなかった。

あの表情は何だったんだろう。

自分と同じものを持つ人間を見つけた喜びだったのかもしれない。

でも、類家は壊さない。

壊すのは簡単だと言う。

維持するほうがずっと難しいと。

鈴木だって、そんなことはわかっていたんじゃないだろうか。

それでも、壊すことを選んだ。

人を信じられなくなったからだろうか。

ただ、本当に人間に何の期待もなくなったのなら、どうしてあれほど執拗に他人の心を揺さぶろうとするんだろう。

もしかすると鈴木は、自分の絶望が正しかったと証明したかったのかもしれない。

でも同時に、誰かにそれを否定してほしかったのかもしれない。

自分と同じものを抱えながら、それでも壊さずに生きている人間。

そんな人間がいることを、確かめたかったのかもしれない。

鈴木は世界を壊したかったのか。

それとも、壊さずに済む理由を探していたのか。

そう考えたら、あの一瞬の表情が少し違って見えてきた。

観終わったときは納得できなかったのに、今はもう一度観てみたい。

まだ鈴木のことを考えている。