財布の中に、
10ユーロ札を一枚入れていた。
新婚旅行でヨーロッパに行ったときに余ったもの。
お札を入れるところが二つあるので、
普段使うお札とは別のところに入れていた。
そのまま、
10年以上。
大事に取っていたわけではない。
使うところがなかった。
しかも、
普段は目にも入らないので、
ほぼ忘れていた。
以前、
同級生が新婚旅行でヨーロッパに行った。
あとになって、
「あの10ユーロ、渡せばよかった」
と思った。
せっかく使い道があったのに。
そしてまた、
10ユーロは財布に残った。
それからしばらくして、
妻が義母とヨーロッパに行くことになった。
今度こそ。
財布から10ユーロを出して、
子どもたちに渡した。
「お母さんに餞別渡してきて」
妻が10ユーロを見て、
「どこにあったの!?」
「財布」
「10年以上あの財布にいれてたの!?」
入れてた。
そして、
ようやく10ユーロが財布からなくなった。
スッキリした。
長年の懸案事項が、
ひとつ解決した。
肩の荷がおりた。
10ユーロだけど。